最近はお店で直接商品を購入するのではなく、通販を利用しての買い物を行う人が圧倒的に多いと思います。一昔前であればカタログを見て電話注文して商品を購入するというスタイルが基本だったかもしれません。ですが近年(21世紀以降)インターネット技術の発展に伴い、そのインターネットの通販サイト(アマゾンの大手会社や個人ショップが運営している通販サイト)で商品を注文して購入するというスタイルの方が一般的になりました。そんな印象が昨今にはあると私は考えていて、色々と便利になったなぁ~としみじみ感じている次第です。
ただ色々と便利にはなった反面、色々と問題も出てきているのです。それは宅配業者による「配送料の値上げ」です。配送料というのは通販を使っての商品購入においては、言葉は悪いですが基本的に避けては通れない料金です。
そんな配送料ですが、ここ最近は値上げというのが非常に深刻化しているという印象があります。特にその深刻化の影響を受けているのが配送料を無料にしている個人店(通販を行っている)です。値上げした配送料を店側が負担している訳ですから値上げの深刻化の影響をモロにかぶっているのは言うまでもないと思います。
今回の記事ではそんな配送料の値上げの通販への影響について書かせて頂きます。
なぜ配送料の値上げが深刻化しているのか
まず最初に配送料の値上げによる通販への影響についての前に、「配送料の値上げの深刻化」について、まずその理由を説明したいと思います。なぜ宅配業者は配送料の値上げに踏み切ったのか、その理由は主に3つの点が挙げられます。
宅配業者の従業員の労働環境の悪化
ブラック企業という言葉が世の中では問題化し議論の的ともなっている事の多い最近ですが、それは宅配業者を含む流通関係の企業にも同じ事が言えます。中でも宅配業者の労働環境は非常に深刻化しており、特にドライバーの労働環境は酷く悪化しているのです。
例を挙げますと名前は伏せますが某運送業者が男性ドライバーの2人に残業代を一部を支払わなかったのと、適切な休憩時間を取らせなかったという事があったそうです。これが何を意味するのかと言いますと、労働時間が長い上に給料も妥当な額を貰えない事があるという事に他なりません。
この様にただでさえ労働環境が悪くなっている上に、この後説明する商品の取扱量の増加もあって、労働環境の悪化を助長しているというわけです。そのためその某運送業者に労働組合が今年の春にドライバーの労働環境改善のために宅配便の引き受けを減らす様に要請を出しました(それくらいに酷過ぎていたということです)。
取扱量の増加
取扱量の増加、これは宅配における取扱量の増加です。これは既に書いていると思いますが、インターネットの大手通販サイトの利用者の圧倒的な増加による影響と考えられますが、その影響で宅配の取扱量も増えているのです。
実際に2015年と去年(2016年)を比較すると、去年は取扱量が2015年と比べても1億900万個に増えているのです。この取扱量の増加は先ほど説明した労働環境の悪化に繋がり、人手不足にも繋がっているので結果的に配送料の値上げの要因にもなっています。
利益率の低下
某運送業者は去年の営業利益を当初予想していた売り上げから大幅ダウンで下方修正しました。というのも650億円の見通しだったのを580億円に下方修正したのです。利用率は大幅に増加しているのに対して、なぜだか利益率は低下しているという事であります。
利用率が増加したのであれば、利益率も同じ様に増加すると思いますよね?なぜこうなっているのか、それには理由があります。
というのも宅配便というのは基本的にその9割が荷物の量に応じる形で基本運賃から割引を行う法人契約になっています。そのため通販事業側の荷物が増加する反面、単価が下がっていくという傾向にあるのです。当然ドライバー側の収入が減るという事も意味するので、人手不足によって人件費が増える、それもまた配送料の値上げの要因でもあります。
配送料の値上げによる通販への影響は?
ではいよいよ本題でもある「配送料の値上げによる通販への影響」についての説明に入りたいと思います。配送料値上げによって通販にどう影響するか、冒頭でも既に書いている部分はありますが、もっと言えば通販業者によりけりではないかと考えています。
例えばアマゾンや楽天などの大手通販業者に関しては、利用者が圧倒的に多いという事と、配送量自体を利用者側に負担しているために致命的なまでの悪影響には繋がらないと考えています。先ほどの大手通販業者以外の小~中規模の通販業者も手数料を利用者側に負担している所は利用者が減るという事になりさえしなければ大きな影響はないのではと思っています。
ですがその小~中規模の通販業者で、配送料を負担している所については間違いなく大きな影響が出て来るというケースが多くなるでしょう。大きな影響でもあり、別な言葉で言い換えれば悪影響とも言えるでしょうか。小規模の通販業者の場合は利益率が大幅に下がる所も出てきたりして、最悪の場合通販事業の一切を終了させてしまう場合も考えられます。もっとも商品単価や、年にどれだけ利益が出ているのかも含めると一概に悪影響が出る所ばかりとは言えないかもしれません。
ですが元々利益がそんなに出ていない通販業者であればどうでしょうか?先ほども言った様に配送料の値上げが事業の足かせになってしまうのは容易に想像できると言っても過言ではないでしょう。もちろん宅配業者側の値上げの理由については既に書かせていただいた通りですので宅配業者側を完全に責める事は出来ませんが、通販業者の中には影響が出てくる所があるという事は確かです。
値上げ時期や料金について
値上げ時期やその料金について、宅配業者によって対応が異なるので一概には言えません。そこで今から業者ごとの値上げや料金について説明したいと思います。
- ヤマト運輸
- 佐川急便
ヤマト運輸は10月1日に行う予定であると既に発表していますその料金についても140~180円ほどの値上げを予定しています。ちなみに値上げ以外にも、既に実施されている事ではありますが今年の4月には再配達の有料化、そして6月には正午~午後2時までの時間指定配達を廃止する様になったので把握しておいたほうが良いでしょう。
佐川急便に関してはこれまでの宅配における平均単価は511円でしたが、値上げ後は7円高い518円になる予定となっています。値上げ開始時期は先のヤマト運輸よりも少し遅い時期の11月21日からの予定となっています。
最後に
今回の「配送料の値上げの通販への影響」は如何でしたか?
配送料値上げについて個人的に思う事は、正直に言いますと宅配業者を利用する側にとっては不便になるという、まずそれが最も思わざる負えない事ですね。利用する側としては極端な話、送料が安くなって欲しいと思わない訳がありませんからね。
ですがその一方で宅配業者側にもドライバーの労働環境の悪化が懸念されているという問題がある事を考えると、複雑な気持ちになってしまうというのも確かです。結局の所、利用者側は値上げの影響をモロに受けますし、宅配業者側の労働改善を行わないといけないというこの2つを踏まえると複雑な気持ちになってしまうんですよね。