ベッドは本体に木材が使われていることがほとんどというのは、皆さんよくご存知ではないかと思います。とはいえベッドの多くが木材で作られているのは知っていても、「ベッドで使われている木材の種類」については、詳しくは知らないという人が多いのではないでしょうか。ベッドで使われている木材は結構種類が豊富ですからね。
今回の記事ではそのベッドに使われている木材についての紹介にしたいと思います。
ベッドの材料として使われている木材の種類は最低でも12種類
先述していますが、ベッドの原料としてで使われている木材というのは少なくとも12種類はあります。その12種類以外にもベッドの原料として使われている木材はありますが、その中でも特に使われていることの多い木材を今から1つずつ紹介したいと思います。
- 桐(きり)
- 檜(ひのき)
- 杉(すぎ)
- パイン
- メイプル(カエデ)
- オルダー(アルダー)
- オーク
- ウォルナット
- マホガニー
桐は主にすのこベッド(天井部分に細長い板をベッドの端から端まで隙間ができる様に、簀子(すのこ)状に張られたタイプのベッド)の原料に用いられることの多い木材です。日本国内(北海道は除く)の他、北米・南米・中国・東南アジアにも生息しています。
国内に流通しているのは、主に輸入材(全体の9割)です。輸入材と言っても国内のに比べて劣るということは一切なく、大半が良質の材なので安心して使用できますし、価格的に安く仕入れることが可能でもあります。強度的には比較的柔らかいため加工がしやすいのと、吸湿性に優れていて木材の難しいところでもある狂いやすさがないという特徴があります。
さらには火に対する耐性もある(熱伝統率が低い)ので家具材としても昔から重宝されている他、家紋にもよく見られることから古くから日本国内で使われていた木材でもあります。
檜は主に福島県南部の他、台湾でも生息しており、木曾五木(きそごぼく)に名を連ねており、昔から建築用として昔から有名な材木であります。
心材部分の耐朽性が非常に高いのが特徴で水湿にも強い傾向がある他、菌や虫に対する耐性もあり、樹齢が比較的古い物になると伐採後は約200年は強度が向上するとも言われています(それだけ耐久性に優れた素晴らしい木材ということですね)。
なので檜は日本国内においては非常に優秀な木材として、高く評価されているのですが、値段が高いというデメリットもあります(そのため業者の中には檜ではなく、比較的安価な木材を用いる場合も)。
杉は日本国内の東北以南に生息していますが、主に太平洋側の地域に生息している「表杉」と日本海側の地域に生息している「裏杉」の2種類あります。
強度的に柔らかいのが特徴で、割裂性が大変良いので薪(まき)割りみたいに割ることで角材~板材まで作ることが可能です。
このように加工性に優れていることに加え価格的にも安価(ただし一部は高価な場合も)で入手しやすいものが多いので、昔から建築用であったり家具を作る際にも使われることの多い木材です。
パイン材は北米にて生息している木材ですが、イエローパインとホワイトパインの2種類あり、それぞれ同じ北米でも生息する地域が異なるのはもちろん、強度的にも違いがあります。
まずイエローパインですが、これは北米東部に生息しており、強度は硬めなのが特徴です。硬い木材なのでホワイトパインと比べると加工性に難がありますが、乾燥が早く塗装が容易に行えるというメリットがあります。
次にホワイトパインですが、北米西部に生息しており、強度的にはイエローパインとは異なり柔らかいのが特徴です。柔らかいので加工がしやすく乾燥も早いのですが、その代わりイエローパインと比べると耐久性に劣るのと、虫害を受けやすいのが欠点と言えます。
メイプルは北米中部に生息している木材で別名シュガーメイプル、あるいはハードメイプル(ハードロックメイプル)とも呼ばれています(おなじみのメイプルシロップが取れることでも有名です)。
強度的に硬質なので加工しやすいとは言えず乾燥性にも難がありますが、その乾燥中の劣化も起きず、かつその後の狂いも起きにくいというメリットがあります。用途としては家具や建築用としてはもちろんですが、強度が優れているので衝撃が加わる部分(例を挙げると床板部分など)に用いられたりします(もちろんベッド本体にも使われることが多いです)。また独特な杢目(バーズアイやフレイムなどの)が出ることもあって、楽器(ギターやベースなど)にも用いられています。
オルダーはヨーロッパ・ロシア・中国・日本国内に生息している木材です。
強度的には「硬くもなく柔らかくもなく」という感じで、乾燥が早くてかつ加工がしやすいという特徴がありますが、虫害を受けやすかったり辺材部分の耐久性が低いなどのデメリットもあります。
ただこのデメリットについては保存薬剤などを使っての前処理を行うことで改善される場合があるので、一概にデメリットとは言えないかもしれませんね。
オークと言っても約200種類あり、全てを紹介することはできないので、ここではアメリカンホワイトオークとアメリカンレッドオークの2種類を紹介させていただきます。
まず最初にアメリカンホワイトオークですが、北米大陸のカナダ~フロリダにかけて生息しています。強度的には硬めではありますが、木目が通直なので加工がしやすい他、虫害や湿気にも強いなどのメリットが挙げられます。もしかすると今回紹介した木材の中では一番優秀かもしれません(それだけ木材として必要な物の大半を備えていると言っても過言ではありません)。
次にアメリカンレッドオークですが、北米東部に生息しています。この材は先ほどのアメリカンイエローオークと比較すると、十分に気を付けて乾燥を行わないと劣化しやすかったり、乾燥後の安定性にも難があったりするなどデメリット的な部分が目立ちます。とはいえアメリカンホワイトオークと同じく強度は硬めなので、蒸し曲げたりするときの耐性は強いといった感じでメリットもあります。
2つのオークはいずれも強度が高いのでベッド本体はもちろん、その他家具や家の床板など多岐に渡って使われています。
ウォルナットは別名ブラックウォルナットとも呼ばれており、北米中部に生息している木材です。
強度は硬いながらも割れにくく、かつ加工がしやすいという優秀な木材と言えます(他にも心材部分は虫害を受けにくいというメリットもあります)。ただその一方で乾燥がしづらいというデメリットもあるなど一筋縄にはいかない木材とも言えますね。
用途としてはベッドを始めとする家具はもちろん、彫刻や化粧板として用いられることもあります(楽器材として使われることも)。
マホガニーは主に中米や南米北部の太平洋側に生息しています。
ホンジュラス・アフリカン・キューバなどいくつか種類があるのが特徴です。中でもホンジュラスマホガニーは強度が高くて乾燥性にも優れ、かつ加工がしやすいのですが、希少性が高いことからワシントン条約によって伐採が禁止されています(そのため銘木として認定されています)。
ホンジュラスマホガニーの用途としては希少性が高い故に、高級な家具(ベッドを含む)や楽器(ギター・ベースなど)に用いられています(高級なものではない一般的な物についてはアフリカンマホガニーが用いられています)。
最後に
今回の「ベッドで使われる木材について」は如何でしたか?
同じ名前の木材でも色々と種類があったり、様々な特徴があったりといったことがお分かりいただけたら幸いです。