掛け布団や敷布団、それから毛布、これら寝具には原材料となる素材が使われている物があるというのは皆さんお分かりだと思います。「材料、つまり素材なくして物は作れない」という事ですね。ではその原材料となる素材は何なのか、これについては後述したいと思いますが大まかに言いますと、例えば動物の毛皮であったり植物由来の天然の繊維、さらには化学繊維などなど実に様々です。
今回の記事ではそんな寝具に使われている素材についての紹介をさせて頂く、そんな記事にしたいと思います。
寝具に使われている素材紹介
では今回の記事の本題でもあります寝具に使われている素材紹介を行わせて頂きます。
- 綿(またの名をコットン)
- シルク
- ポリエステル
- ポリウレタン
寝具に使われている素材、まず最初は綿から始めたいと思います。綿というのは植物由来の繊維で作られた素材です。元々インドで生まれたのですが、それがインドから西の方へと伝わっていき、最終的にはイタリアやスペインを経由する形でヨーロッパに伝わったという経緯があります(ちなみに日本には平安時代に綿が広まったそうです)。およそ5000年以上も前から多くの人々に親しまれており寝具はもちろん、衣類など様々な用途に使われている人気素材です。
なぜ人気素材として多くの人に愛されているのかと言いますと、多くのメリットがあるからです。そのメリットをまとめて挙げると、吸収性が高い・静電気が起きにくい・肌触りが良い・夏は涼しく冬は暖かい・洗濯がしやすい・体臭を抑える事が可能などが挙げられます。
もちろんデメリット(値段が高め・黄ばみやすい・シワになりやすい)もいくつか挙げられますからメリットばかりではないのは確かですが、デメリット以上にメリットが多く魅力的な素材と言えるのではないかと思います。だからこそ綿は多くの人に愛されている素材なんですね。
シルクは高級な寝具や衣類に使われる事の多く、その事から敷居が高い素材という認識が多くの人にあると言っても過言ではないでしょう。4500年もの長い歴史を誇っており、先ほどの綿と同じく長い歴史のある素材でもあります(日本では弥生時代に朝鮮半島から伝わったとの事です)。
そんなシルクですが綿と同じメリット(肌触りが良い・夏は涼しく冬は暖かい・静電気が起きにくい)もあるのですが、最も特徴的なメリットとしては「美しさのある光沢感」ではないかと思います。この光沢感というのはシルクその物の繊維断面が三角形の形になっているため、光を当てた時にプリズム(光学部品の1つ)みたいな感じで光を反射する、だから美しい光沢を放っているのです。
綿の持つメリットに加えて美しい光沢があるという魅力的な要素を持ったシルクですが、デメリットもあります。シミが出来やすいというのがその1つですが、太陽光に対して耐性がない・摩擦に弱いというのが主なデメリットです。「太陽光に対して耐性がない」というのはタンパク質で出来ている故に紫色に変色しやすく、「摩擦に弱い」理由としては繊維が細い事から摩擦に弱いのです(あと「シミができやすい」というのも水分に弱いためであります)。
ポリエステルというのは科学的に作られた合成繊維の1つで、寝具や衣類にはもちろんですが、楽器類の塗装にも用いられる事の多い素材でもあります。合成繊維と言っても色々あるのですが、その合成繊維で作られた物の大半が原料としてポリエステルが使われているのです(ちなみに寝具においてはカバーの素材として用いられる事が多いです)。
そんなポリエステルですが、一番のポイントとしては耐久性が圧倒的という点です。耐久性が非常に高いために、シワになりにくかったり衣類はもちろん寝具にしても型崩れが起きにくかったりといったメリットがあるのです。また高い温度に対しても耐性があるのでアイロン掛けも容易に行う事が可能だったりします。
シミが出来にくい、及び傷も付きにくい事から洗濯も簡単に行えるので、そういった意味では寝具にも最適な素材とも言えます(また化学繊維のためカビや害虫による被害を受けにくいというのもメリットと言えます)。他にも乾きやすいというのもメリットの1つとして挙げられます(寝具や衣類ではありませんが、先ほど少し触れた楽器類の塗料にも使われているのはこの“乾きやすい”というメリットの影響も大きいと思います)。
言い換えればこれは「吸湿性のなさ」を意味しますがメリットの1つでもあるのです。吸湿性がないという事は湿気を吸いにくいという性質があるという事で、特に夏場においてはこのメリットを感じやすいと思います。吸湿性のある素材が使われている寝具では夏場は湿気を吸い取ってしまうが故に、寝具に触れた際にジメっとした感じに悩まされるのです。その点ポリエステルが使われている寝具は吸湿性が極めて低いために、ジメジメしにくいので夏場の厳しい暑さを乗り切りやすくなります。
色々と書きましたがポリエステルのメリットとしては耐久性がある・洗濯しやすい・乾きやすい・吸湿性のなさの4点になります。
では次にデメリットですが、まとめると静電気が起きやすい・毛玉が出来やすいの2点が挙げられます。まず最初の「静電気が起きやすい」というデメリットですが、これはポリエステルという素材が静電気を起こしやすいという性質だからです。特に冬場は空気が乾燥しやすく、静電気が起きやすい環境になりやすい時期です。ポリエステルが使われている寝具を購入予定、あるいは既に購入済みで使用している場合には注意が必要になります(この点に関しては最初の綿とその次のシルクが優位になりますね)。
そして「毛玉ができやすい」事についてですが、これもまた静電気と似ていてポリエステルは毛玉が出来やすい性質なのです。ポリエステルではありませんが、天然繊維のウールも毛玉が出来やすいというデメリットがありますが、ウールの場合は毛玉が出来ても取り除く事が出来、逆にポリエステルでは毛玉が出来ると取り除き辛いのです。
そのため摩擦に弱いとも言えるので、洗濯を行う際にはなるべく摩擦が起きない様に気を付けるのが賢明です(対策としては摩擦が起きない様に洗濯の際に洗濯物を詰め込まない、洗濯ネットを使うというのが有効です)。
今回の記事の寝具に使われる素材、最後はポリエステルならぬ「ポリウレタン」を紹介したいと思います。ポリウレタンというのは1940年ごろにドイツにて研究・開発が行われた合成繊維です。5~10倍もの伸縮性を兼ね備えているのが特徴で、ゴムみたいな繊維になっています。ゴムみたいな繊維になっているため、耐久性があるのはもちろん、軽いというのがメリットです。
特に寝具としては毛布がこのポリウレタンのメリットを一番実感しやすいのではないかと思います。あと耐久性があり軽量という以外には、染色可能というメリットもあります。このメリットは寝具として使う上ではあまりメリットだと感じないかもしれませんが、同じ合成繊維でもある先のポリエステルが染色出来ないのに対し、ポリウレタンでは可能になっています。このメリットを一番発揮しやすいのが同じ寝具のカラーバリエーションが増えるという事です。言い換えればカラーバリエーションが白など決まりきった物しかないという不満を解消しやすくあるという事でもあります。
このポリウレタンですが先ほどのメリットよりも、どちらかというとデメリットの方が大きいと思うので、寝具に使う素材として今回紹介した中では最も使いづらい面があると言えます。ではそのポリウレタンのデメリットですが、経年劣化が起きやすいというのが一番のデメリットとして挙げられます。その分扱いが難しく、例えば直射日光に当てない・湿気を取り除く必要があるといった感じで、しっかりとした管理が求められるのです。丁寧に扱うにしても劣化が避けられないので、ポリウレタンが使われた寝具は長期的には使わないという場合に限って有効と言っても決して過言ではないと思います。
最後に
今回の「寝具の素材について」の記事は如何でしたか?
今回紹介した寝具に使われる素材はごく一部を紹介したまでではありますが、素材1つ1つの特徴やメリット・デメリットなど、参考になれば幸いです。